日々の活動Blog

大地の芸術祭「はつがの家」

越後妻有地域 (新潟県十日町市、津南町)で3年に1度のペースで開催されている国際芸術祭「大地の芸術祭」が、今年も7月29日〜 9月17日の51日間にかけて開催されました。 このアートイベントは、地域の内在する魅力をアートの力で発掘し発信していくことが大きな目的とされ、国際的に活躍する著名な国内外アーティストが訪れ、忘れ去られつつある地域の魅了を再生するアート作品を次々と生み出しています。
今年で5回目をむかえたこの芸術祭で、今回、臨床美術学会の開催と臨床美術を紹介する作品展示とワークショップを行う「はつがの家」が出展(概要は以下をご覧ください)されると聞き、学会参加もかねてクリニカルアートやまがたメンバー5人で行ってきました。
「大地の芸術祭の里」
「造形芸術研究所」での紹介ページ

「はつがの家」は、新潟県十日町市にある元歯科診療所を、臨床美術のワークショップ会場と展示空間にしていました。上記の写真は診察室だったと思われる部屋にあった臨床美術のオイルパステル。会期中ここで「いろいろな線と色であそぼう(はつがの家バージョン)」を行い、たくさんの方が参加されたそうです。メンバーの中にはこのワークショップのお手伝いをしてきた方もいらっしゃいます。

オイルパステルで制作した作品は、この部屋を出てすぐの廊下の壁にずらりと飾られてあり、参加されたみなさんが楽しんで描かれた痕跡が感じられました。描かれた方の数だけ線や色の美しさ、混色のバリエーションがあります。じ〜っと見入ってしまい飽きることがありませんでした。

これは粘土を「握る」という原始的な行為に目や鼻をつけて作る臨床美術のプログラム『土偶』。体の中に作った方の願いを混めた石が入っています。日本庭園に見立てたかのような砂の文様の中心におかれて心なしか土偶がイキイキしているように見えます。通常の臨床美術の講座では、作られた作品はすぐ持ち帰っていただくことが多いため展示をする機会があまり無いのですが、クリニカルアートやまがたでも臨床美術の魅力をお伝えする機会として山形駅前「ゆうキャンパスステーション」(ファミリーマート横)で参考作品を展示させていただいているのでこの展示方法はとても良い刺激になりました。

これは『飛ぶ人』。紙粘土を使い「空を飛んでいること」をイメージするプログラムです。天井からテグスでつり、さきほどの『土偶』と同じ部屋に展示されていました。時々揺れていて浮遊感たっぷりでとても素敵な展示でした。

他にも直径1mくらいはあるかと思われる巨大な『立体・かぼちゃ』の作品。オイルパステルで描かれた量感画『サツマイモ』『人参』が『はつがの家』を埋め尽くしていました。またカフェなども併設され、地元の野菜を使ったカラフルなオリジナルスィーツや飲み物なども楽しめ、臨床美術の魅力を五感を使って楽しみながら伝える場所となっていました。

樋口雅子(クリニカルアートやまがたメンバー)

 

YBC NEWS EVERYで紹介されました

クリニカルアートやまがたメンバーで臨床美術士の工藤悦子さんが企画し、2012年9月19日(水)に、「悠創館」(山形市)で開催した臨床美術講座の様子が、同日のYBCのニュース番組 「NEWS EVERY」の地域のニュースコーナー(18:40~18:43)でご紹介いただきました。

読売新聞に掲載されました

クリニカルアートやまがたメンバーで臨床美術士の工藤悦子さんが企画し、2012年9月19日に、「悠創館」(山形市)で開催した臨床美術講座の様子が読売新聞に掲載されました。

「いろいろな線と色で遊ぼう」(講座)

日時:2012年9月19日(水)9:30~12:00
会場:悠創館(山形市上桜田)
内容:いろいろな線と色で遊ぼう
参加者:滝山地区ふれあいいきいきサロンの皆さん
講師:臨床美術士5名

 

朝夕やっと涼しさを感じられるようになってきた山形市内です。
今日はそんな初秋を感じるすがすがしい午前中に、臨床美術講座「いろいろな線と色で遊ぼう」を、滝山地区ふれあいいきいきサロンの13名(ほか5名)の皆さんに実施しました。同サロンのみなさんは臨床美術講座は2回目。今日の講座を楽しみに来てくださったご様子でした。

今日はYBC(山形放送)さん、山形新聞さん、読売新聞さんの取材もいただき、メンバー一同緊張でコチコチ。でもサロンのみなさんの笑顔に支えられてリラックス(本当は参加者のみなさんの緊張を、私たちがほぐさねばいけないところです!)

今回は作品制作の前に、「臨床美術とは何?」かを説明するフリップを用意。メンバーの工藤さんが「右脳を使うとどうなるの?」というしくみを説明しました。上記の写真は今回の制作作品を、鑑賞会のためにホワイトボードに並べて展示したところです。同じ説明をしているのに、出来上がった作品にはみなさん個性や経験が活かされています。
鑑賞会の時に出たみなさんの感想を少しご紹介すると。。。

「私の家の畑をイメージして描いた」
「私は絵を知らないけど自分の中にあるもので描いた」
「自分が考えていたものと違うけどすごく気にいった」
「どんどん描けて終わりがない。楽しい。」
「最近忙しい日々を送っていたけど今日はゆっくり楽しめた」

などなど、お一人おひとりがいろんな線と色で楽しみ、感情や経験した事を 表出されていたことが伝わってきました。
中には「うまくかけなかったからもっとこんなふうにすればよかった!」「もう一回描いたらもっとよく描ける気がする!」など、早くも次回の意気込みを語る方も。

このサロンでは次回、上記の写真下に見えている「さつまいもの量感画」を予定しています。楽しみですね。

今回の様子は、本日2012年9月19日(水)YBC(山形放送)NEWS EVERY 18:15〜(うち18:40〜18:43)の地域のニュースコーナーで放送されました。ほか、明日以降の新聞にも掲載予定です。(掲載されましたらまたこのブログでご報告いたしますね。)

樋口雅子(クリニカルアートやまがたメンバー)

「マチスとのコラボレーション」(講座)

日時:2012年8月25日
会場:のぞみの家(山形市岩波)
内容:マチスとのコラボレーション

7月にのぞみの家より講座の依頼をいただいてから事前勉強会を2回開催してきましたが今日はいよいよ本番です。今回は知的障がいをもった方6名と施設の職員の方2名で、3グループに分かれて開催しました。3グループとも一つの大きな部屋で同時に実施。とても賑やかな雰囲気で行われました。メインの講師を務めたメンバーは一生懸命に大きな声を出して、皆さんに制作の手順を伝えていきます。


マチスの作品のコピーを分割したものを皆さんに配布し、それぞれがオイルパステルで思い思いに線を加えていきます。
線を描くだけでなく、色を重ねた部分をこすって混色したり割り箸ペンで削っていると、皆さんも気持ちがどんどん乗ってきて真剣に制作に取り組む姿が印象的でした。
  
できあがった作品は一つひとつ貼り出して、講師が作品の良さを具体的にコメントしていきます。講師のちょっとした言葉がけが、皆さんには嬉しいようです。その場の雰囲気もますます明るくなっていきます。

そして、このプログラムの最後のお楽しみ…
皆さんの作品をつなぎ合わせて、マチスとのコラボレーションが完成します。

それぞれに光る個性が組み合わさり、とても楽しい作品に仕上がりました。参加者の皆さんも楽しかったようですが、施設の所長さんからもわくわくする楽しい時間だったと感想をいただきました。作品も施設内に飾ることになりました。

講座終了後は今回の反省会。皆さんからは「楽しかった」という感想をいただいたものの、メンバーの試作不足が影響し、映える色は何かを自分の実感をもってアドバイス出来たかや、わかりやすく伝える難しさ、サブとして参加者に親身にサポート出来ていたかなど、様々な意見が出ました。実際の準備がまだまだ十分でなかったと実感した今回の講座でした。

今回の反省は、次回の講座にいかしていきたいと思います。

安達奈緒子(クリニカルアートやまがたメンバー)

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